スタッフコラム

4月のテーマ:耳の病気と治療方法 ~中耳 ③~

③慢性中耳炎とは?
慢性中耳炎とは、急性中耳炎や滲出性中耳炎、鼓膜外傷などが治りきらずに、鼓膜に穴が開いたままになっている状態です。慢性中耳炎は、大きく2つにわけられます。

❶慢性単純性中耳炎(まんせいたんじゅんせいちゅうじえん)
鼓膜に穴が開き、そこから細菌が入ることによりおこる中耳炎で、耳だれを繰り返します。また、鼓膜に穴があることで、音の振動が十分に伝わらなくなる為、聞こえが悪くなります。

❷真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)
鼓膜の一部が袋状にへこみ、中耳に侵入し、そこに鼓膜由来の固くなった皮膚が溜まっていきます。
この塊は「真珠」のような見た目をしているため、真珠腫と呼びますが、腫瘍ということではありません。
真珠腫に細菌が感染して炎症を起こすと、骨などの周囲の構造物を壊しながら大きくなります。初期症状は、膿まじりで臭い耳だれが出ます。炎症が進むと聞こえが悪くなったり、耳が痛くなったりします。更に進むとめまい、味覚障害、顔面神経麻痺など内耳に存在する神経の障害が生じる可能性があります。


「治療方法」
まず、耳だれが止まった状態(乾燥耳)を目標とします。局所処置や点耳薬、内服薬で炎症をコントロールすることにより耳だれを止めることは可能です。(保存的治療)
しかし、鼓膜に穴がある限り、風邪などがきっかけで耳だれを繰り返します。また、鼓膜に穴がある限り、聴力は改善しません。鼓膜の穴を閉鎖する、あるいは真珠腫性中耳炎の炎症の場を取り除くなどの手術が必要となります。(手術治療)